みさちのにっきちょう

ハイパムフィクサーというバンドのベースの人がどーでもいいことを書いています。Twitter@misachi_bass

映画「エヴォリューション」を見た。ネタバレ解釈

 

エヴォリューション(字幕版)
 

 

エヴォリューションを見ました。

概要

 

【公開】
2016年(フランス映画)

【脚本・監督】
ルシール・アザリロビック

【キャスト】
マックス・ブラバンロクサーヌ・デュラン、ジュリー=マリー・パルマンティエ

【作品概要】
女性と少年のみが暮らす謎の島で美しくも恐ろしい悪夢のようなダーク・ファンタジー映画。監督は、初長編映画『エコール』や短編映画『ネクター』で高い評価を受けているフランスの女性監督ルシール・アザリロビックの作品。

今作が映画初出演のマックス・ブラバンが主人公ニコラを演じ、『エール!』のロクサーヌ・デュラン、『マリー・アントワネットに別れを告げて』のジュリー=マリー・パルマンティエが共演。

2015年サン・セバスチャン国際映画祭で審査員特別賞と最優秀撮影賞を受賞。

 

あらすじ

少年と女性しかいない、人里離れた島に母親と暮らす10歳の二コラ。その島ではすべての少年が奇妙な医療行為の対象となっている。「なにかがおかしい」と異変に気付き始めた二コラは、夜半に出かける母親の後をつける。そこで母親がほかの女性たちと海辺でする「ある行為」を目撃し、秘密を探ろうとしたのが悪夢の始まりだった。

 

感想

いかにもフランス映画っぽい、静かで美しく、謎めいた映画でした。海が沢山出てくるんだけど、とにかく美しい。少年や女性が泳ぐところはとてもきれい。ストーリーは難解なようだけど、寓話的でいくようにも解釈できるような余白がたくさんあります。特に後半はセリフが少ないし音楽もないので、ただ見せられてる感じというか、やみくもにこちらの感情をコントロールしようという感じよりは、自由に見て自由に考えてねって感じがしました。昔ばなしの読み聞かせみたいな感じ。面白かったです。

 

ここからネタバレあり

最後まで見た方向けにわたしの解釈を書きます。あらすじを時系列で書く訳では無いのでよよしく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女たちは何者か

女たちは人間ではないのは分かるけど、じゃぁ何かっていうと、わたしは陸に上がったヒトデだと思いました。最初は荒れた海でも余裕で泳いでるから人魚なのかなと思ったけど、海の生き物で人間に形が似てるのがヒトデだったのかなと思います。陸に上がったヒトデ、ヒトデから進化して陸で生活している生き物、って感じなんじゃないでしょうか。ヒトデがとにかくたくさん出てくるし、赤いヒトデも非常に印象的です。

 

なぜ女と男の子しかいないのか

これは後半で男の子に子どもを産ませるためだって分かるわけだけど、そもそもヒトデっていうのは種類にもよるけどオスメス両方いなくてもメスだけで繁殖できたり、ちぎれた身体が再生して増えたりできるんですね。だから、島に女性しかいないのに繁殖のために男の子が必要なのは、

  • 男性のヒトデが何らかの理由で死滅してしまった
  • 陸に上がったことで女性だけで繁殖する機能を失ってしまった

ってことが考えられるのかなと思うんですけど、男性のヒトデが死滅してしまったとしたら必要なのは男の子ではなく繁殖力のある大人の男性のはずだし、男の子たちはお腹に子どもを入れられているわけで、ここは陸に上がったことで繁殖する機能を失ってしまったのではないかと思います。

だけど、ヒトデの女性を見るとみな大人の女性ばかりでヒトデの女の子がいません。途中、ナースが見せてくれた写真には子どものようなヒトデもあったので、もしかしたら、途中で何らかの理由で繁殖ができなくなり、いろいろ実験した結果、男の子のお腹を借りて産めば繁殖できるという結論に至ったのかもしれません。

 

不味そうな食事と繁殖への執着心

途中で食事のシーンが出てきますが、これがまたなんとも得体の知れないパスタみたいなやつで超不味そうなんですよね。しかもママは食べなくて男の子だけ食べてる。これは見よう見まねで「人間の食事ってこんな感じでしょ」って作ってる感じがしますね。そもそも生き物にとって食事は生きるためであって、家族団欒みたいな概念はないんだよってことでしょうか。

あと、帝王切開の出産ビデオを見ているナースたちも何度か出てきますが、これはとにかく見よう見まねで、知識もないけれど、人間の出産はこんな感じなのかなってお勉強してるように見えます。

さらには、失敗作と思われる胎児を瓶に詰めてしまいにいくシーン。部屋には同じように瓶詰めにされた胎児が大量にありました。これは何度も何度も実験が失敗したのだということを示していると思われます。それだけ繁殖に対する執着心が強いことを示していると思います。最初のところでニコラが水中に死体を見つけますが、ママは驚きもしません。一応、あとで見に行きますが、失敗して死んでしまった男の子を海に捨てることは日常茶飯事であることを示しているシーンだと思います。

 

あの薬はなに?

ニコラが飲まされているイソジンみたいな薬、中身がなにかは映画では明かされませんが、繁殖に耐えうる身体にするためとか、あるいは過去の記憶を消すための薬かもしれません。ニコラは絵が好きで色々な絵を書いていました。家でお絵描きをしているシーン、ママが来ると分かると慌ててページを変えてヒトデの絵を描き始めます。また、病院でナースに絵を見せてと言われてノートの中身が写りますがどれもこの島にはないものばかりでした。ということは、男の子たちは最初からこの島にいた訳ではなく、以前は普通の人間の世界にいた、それが何らかの理由(例えば買われたとか)で島にやってきて、生活している。絵を隠したのは、過去のことを覚えていると知られると怒られるから?なにかマズいことが起きるから?ではないかと推測できます。そこから、あの薬には記憶を消す作用があるのかなと考えました。

 

ニコラとナースの関係

最後、ニコラとナースは特別な関係になりますが、ここもなかなか難解です。秘密を教えてあげる、と言われたり、海で溺れさせられたり、でも助けられて、一緒に逃げるのかと思えばナースは消えてしまう。

わたしの解釈はこうです。女たちはヒトデであるから、生きる理由や目的は繁殖です。そのために男の子を媒介とすることにもなんのためらいもありません。むしろそれが当然だと思っていて疑う余地もないのでしょう。しかし、あのナースは、ニコラの絵を見たことで、男の子たちにも自分の世界があったことに気がついてしまったのです。ナースは観覧車を知りませんでした。ニコラが書いた女の絵はたぶん本当の母親だと思います。それを見たナースは、初めて人を思いやる心が目覚めたのではないでしょうか。動物は繁殖するため、本能で生きています。でも人間は違います、本能だけでは生きていません。だから、あのナースはニコラを通してヒトデから人間へと一歩近づいてしまった、進化したのではないかと思います。だから、ニコラに秘密を教えようとしたり、自分の体を見せたりしたのではないかと思います。しかし、そのあと、はっと我にかえり、教えてはいけないことを教えてしまった、この秘密が漏れたら大変だと思い直したのかもしれません。ニコラを海で溺れさせようとしましたが、結局助けました。このへんがまた人間らしい葛藤という感じがします。その後、ニコラとナースは一緒に泳いで遠くに逃げようとしますが、結局ナースは海に入って消えてしまいます。島に帰ったのかもしれませんし、どこかへ他のところへ行ったのかもしれません。なぜ消えてしまったのかは、やはりこれも葛藤の気持ちが芽生えて、このままニコラと人間の世界に行っても、ニコラもヒトデの女たちも不幸になるだけと思ったのかもしれませんし、もしかしたら最初からニコラだけを逃がすつもりで沖に出たのかもしれません。自分たちの繁殖のためにニコラにつらい仕打ちをしてしまったことを後悔する、申し訳ないと思う気持ちがナースに芽生えたのかもしれません。

 

つまりどういう話

あるところにヒトデの島がありました。そこではヒトデたちは人間の姿をしていて、人間のように生活しています。しかし困ったことがありました。ヒトデたちは人間の姿を手に入れた代わりに、子どもをつくることが出来なくなってしまったのです。これではいつかヒトデの島は滅びてしまいます。そこでヒトデたちは何度も何度も実験をして、なんとか子どもヒトデを誕生させる方法を考えました。その方法はこうです。人間の10歳くらいの男の子を連れてきます。薬を飲ませたり海に慣れさせたりしたあと、お腹に卵を埋め込みます。すると、ヒトデの赤ちゃんを誕生させることに成功しました。しかしこの方法は必ず上手くいく方法ではなかったようで、島にはたくさんの男の子が連れてこられていました。ある時、ニコラという男の子も赤ちゃんを誕生させるための男の子として島に来ました。ニコラはほかの男の子とは少し違って、島に来る前の昔の記憶をよく覚えていたり、島の秘密を探ろうと夜中に抜け出したりしていました。やがてニコラのお腹にも卵が入れられる時が来ました。ニコラの身体はだんだん変化していきます。病院にいたナースのひとりは、ニコラの絵を見て、初めて人間の世界のことを知りました。絵が好きなニコラとお絵描きをしたりしました。だんだんとナースには人を思いやる心が目覚めていきました。それまで男の子たちを赤ちゃんヒトデのための道具としか見ていなかったナースですが、ニコラと出会って初めて思いやる気持ちを知りました。ナースはニコラを人間の世界へ返してあげることにしました。2人は海を泳ぎ、沖でみつけた小舟にニコラをのせます。途中でナースは消えてしまいました。海に帰ったのかもしれません。ニコラの前には、光る街の景色が見えていました。

おわり。

 

こんな感じでしょうか。

ともあれ、いろいろな解釈ができる映画だと思います。とても面白かったです。

 

 

おわり。